労災保険

2018/07/19

労災保険加入でリスクを管理!加入増加の波に乗り遅れるな

労災保険加入でリスクを管理!加入増加の波に乗り遅れるな

現場仕事には厳しい季節になって来ましたが、夏バテせずに体調管理できていますか?
 以前にコラムで「労災保険未加入の一人親方の大きなリスク(2018年4月30日掲載)について労災事故件数などについて簡単に紹介しました。
建設建築業界の一人親方の数は約50万人(労災加入状況より調査)と言われており、毎年増加傾向にある中でどのくらいの一人親方が労災保険に加入しているのでしょうか。
 また、製造業や金融業・小売業など他の業種と比べて現場での危険度も高く(3Kなど)、リスクにさらされている建設建築業界の人達はどのくらいの割合で保険に入っているのでしょうか。
 今回は他業種の統計や、下の表をもとに数値で建設建築業界の現状について紹介していきましょう。
労災保険加入者は増加傾向に
 国や労働組合、労災協会など全体で労災保険の加入を推進し、未加入者へは現場への立ち入りを禁止する、加入していない事業者へは建設業を許可しないなどの取り組みもあり、少しずつではありますが労災保険の加入者は増加してきています。
下の表は一人親方労災保険組合・労災月報【平成29年1月〜平成30年6月】の統計結果をまとめたものです。
 ※建設建築業界の一人親方の数は約50万人(2018年:労災加入状況より調査)となり、毎年1万人ほど増えていると言われています。
 特別加入者数は平成30年6月までの1年半の間に、29,533名から50,543名と約4割(2万人程)増加しています。一方、加入者数増加に伴う労災発生件数を見ると、42件から69件と毎月変動はあるものの、約4割の増加という結果より、保険加入と労災事故の増加数に正の相関関係があるということも事実です。しかし労災保険の本来の目的は、労災事故の抑止力という期待はありますが、労災事故が起きた際の保障ということになるので、あくまでも参考としておきましょう。もちろん保険に加入することで労災事故の件数が減るという結果となれば望ましいことですが、心理的には保険による保障がどのように影響を与えるのかは人により異なり未知数ではあります。
 ※相関関係について
 「正の相関」と「負の相関」があり、正の相関関係とは一方の値が増加するともう一方  の値も増加するという関係のことで、負の相関関係とは、一方の値が増加するともう一方の値も減少するという関係のことです。
建設建築業界の人々は「保険」自体への加入率が低いのか?
 上記の表によると、一人親方の労災保険加入率は10%程度なのではと推定(正確な一人親方の数が不明のため概算予測)されます。
 ある保険会社のアンケート調査によると、どの業種も正社員の場合には労災保険・社会保険・雇用保険などの加入率は9割を超えていますが、アルバイトやパートタイマーなどの立場になると、製造業や金融業・小売業などは3割以上の加入率にも関わらず、建設建築業は1割程度という結果にっています。
 また、加入率は事業体の規模(従業員数)が小さくなる程に低くなっているという傾向もあり、建設建築業界が特に多重下請け構造の業界である、一人親方という立場は正社員とは異なり保険加入に対してはパートやアルバイトのような感覚になりがちなこと、独立した事業者のために慣習や保険に対する考え方などの様々な要因から、立ち位置としてはアルバイトやパートタイマーと同じ程度の加入率となっているのが現状なのかもしれません。
「保険」は助け合いの精神から生まれた
 労災保険に限らず、生命や医療・車・災害など、あらゆるリスクに備えて開発されてきた「保険」ですが、現代社会では生活のどの場面でも切り離せないくらい重要なものになってきているように思えます。
 保険は中世ヨーロッパの都市で組織された同業者組合である「ギルド」ではじまったともいわれており、この「ギルド」では、仲間同士で仕事で困った時の資金援助や、病気やケガで働けなくなった時や、死んでしまったときの遺族への生活援助などをしていました。17世紀になると、イギリスの寺院で仲間に万一のことがあった時の香典をだすために、毎月一定額を払い込むという制度になっていきました。
 保険は不測の事態が起こった際に、その地域の仲間や同業者同士で少しずつリスクを分散して負担することにより、お互いを助け合うことができるだけでなく、組織やコミュニティを維持していくための仕組みでもありました。建設建築業界は職人一人で完結できる仕事は少なく、建物を作るためには多くの職人との連携が必須になります。先週も、各地の大雨被害により、行方不明者や被害者も多数発生しており、地域を超えた連携や助け合いの精神が問われているように感じました。一人親方として更に今後の復興・支援活動などが社会から期待されている状況下で、自分に何ができるのかを皆さんも考えてみましょう。

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