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内装工事

2018.11.15

ものづくりの
想いと仕事の
考え方

INTERVIEW

VOL.01

有限会社 中山工務店 / 取締役

中山啓一さん

一人親方を束ねる 施主本位の内装業者

このコーナー記念すべきお1人目は、飲食店などの造作を手がける内装業者「中山工務店」取締役の中山啓一さん。現場で作業するチーム編成と管理力、施主との関係構築から、ものづくりに対する真摯な姿勢が感じ取れるインタビューとなりました。

まずは会社の構成からお教えください

中山さん 現在は自分と妻、父の家族で会社を構成しています。現場作業に関わる人は、みなさん一人親方で独立されている人たちで、うちで請け負った施工それぞれのスケジュールや現場の規模によって声をかけて一緒に仕事をしている感じです。

どうやって一人親方のみなさんと関係構築したのでしょうか?

中山さん 一人親方のうち一人は弟で、ほかはお勤めを辞められて独立された方。独立当初に、ステップアップにウチを使ってもらえればと声をかけたことが始まりで、もう十数年の付き合いになる一人親方もいます。

一人親方のみなさんを束ねるのは大変ではないですか?

中山さん 一人親方の人は単独でももちろん活動していますが、うちの案件、内容をちゃんと理解していて、お施主さんについても理解してくれているので、「そのお施主さんなら行きましょう」ということもあります。なので、良い空気感で仕事できていると思います。

お仕事の内容をお聞かせください

中山さん 内装業で飲食店などの店舗内装とメンテナンスがほとんどです。最近の案件は東京の広尾プラザに入っている「ベーカリー&カフェ 沢村 広尾プラザ」や品川の「THE CITY Bakery SHINAGAWA(写真)」を手がけました。お施主さんが店舗で使用するために集めている家具なども工場で預かって、リペアなども請け負っています。

どのような流れでお仕事を請け負っていますか?

中山さん メンテナンスを請け負ったお施主さんから新しい案件を請け負ったり、ご紹介いただいたりすることなどが基本です。それなので基本的には直請けの案件ばかりです。そこから流れでお施主さんから住宅のリフォームなどを請け負うこともあります。

「工場」という話が出ましたが、どのような使い方をされていますか

中山さん 店舗の施工は既成品を使用することがなく、建具や扉などすべて寸法を測って、自社で加工しています。お話した「ベーカリー&カフェ 沢村」に関しては面白い現場で、お施主さんである社長がデザインをされる施工現場でした。いらっしゃるたびにチェックをしていただいて、その都度修正を加えていく。そういうことが多いので工場を持っていることで、いつなんどきでも対応ができて、すぐに現場に反映できるのでとても重宝しています。

どの現場もそのようなお施主さんが多いですか?

中山さん いろいろとアイデアやデザインを発想する方もいらっしゃいますが、まるでない方もいらっしゃいます。その場合は1からヒアリングをしてこちらから提案をして話し合いを重ねます。そこから内装関係をフルで請け負って、厨房屋さんなどに声掛けもして作っていく感じです。

その場合も設計図をひかれないんですか?

中山さん あまり知識のない方が図面を見ても難しいですよね。プロでも図面だけで距離感やスケール感を理解するのは難しいです。工務店さんによって、図面がないと施工できないというところもあると思いますが、うちでは現場で墨出しをしています。大きな現場でも小さな現場でも、お施主さんに立ち合ってもらって、実地でテープをつかって墨出しをして、実感してもらっています。店舗を持つのが初めてなんて方は図面の手配すら困ることもありますからね。

施主様の理解は大事ですよね

中山さん そうですね。墨出しをして感覚的に理解してもらえれば、のちのちトラブルにもなりにくいです。例えばカウンターと壁の間隔とか、カウンター内の広さなどは、図面に人型を書いても理解しにくいですから、ちゃんと実感して理解してもらったほうが良いものができますし、改善点の依頼やこちらからの提案もスムーズに進みます。

それは店舗を持つ人にとっても嬉しいことだと思います

中山さん 最近請け負ったカウンターバーの案件では、やはりお施主さんがはじめての店舗ということで、カウンターと椅子の高さ比など内装の知識もなく、営業許可取得から知識がない状態でした。はじめて店舗を持つ方にはそういう方もいらっしゃるんです。それなのでヒアリングをして、「床が平らだからカウンターの高さを何cmにしましょう」「カウンターの高さがこれだったら、スツールの高さは何cmになります」というように順を追って進めました。そのお施主さんはできるだけ節約したいので、スツールはご自身で準備するとのことだったので補足で「スツールは高さがあるので足掛け付きがいい」「できれば荷物が入れられたほうがいい」などのアドバイスもしました。そうするとお施主さんもあとから手入れする回数が減るんです。

きめ細かいアドバイスですね

中山さん 一番多いのが、季節感のズレですね。夏に施工すると、お施主さんの頭からは冬場のコート置き場のことなんか、頭からすっぽり抜けてしまっているので、先回りして提案しておきます。それをしておけば、仕上がるもよりよいものになりますし、あとから再度修正なんてこともなくなります。

仕事に対するポリシーを感じます

中山さん 内装の仕上がりもそうですが、お施主さんとの関係性が良ければ、飲食店はメンテナンスがつきものなので、また仕事を依頼してくださる。そのメンテナンスも自分で伺って自分で作業して、そこから次の仕事につながっていきますしね。それはチームを組んでもらっている、ほかの一人親方にも浸透しています。

施主本位というか、営業活動としても大事な点だと思います

中山さん ほかにも自社工場をもっていることで、お施主さんの要望や思い描いていること、ヒアリングしたことにすばやく対応できる。それで信頼関係を醸成していって、メンテナンスも請け負ったり、リペアを請け負ったりというように進んでいると思います。

いままで請け負ったなかで規模の大きかったものを教えてください

中山さん 大型案件ですと、六本木ミッドタウンに入っている「酢重ダイニング 六角」を手がけました。あと軽井沢の関連店舗や「銀座 真田(写真)」も。全て「ベーカリー&カフェ 沢村 広尾プラザ」、「THE CITY Bakery SHINAGAWA」と同じお施主さんです。お取引のはじめはメンテナンスだけをうちでやらせて欲しいとお願いしていたのですが、なんだかんだと新規案件もやらされちゃうんですよね(笑)。住宅リフォーム発注してくれたり、大事に乗っていた車を譲ってくれるとか、イヌ預かってくれない?とか(笑)

それは仕事に対するポリシーと、中山社長の人柄を見てのことだと思います(笑)。今後はそういった仕事や施主を増やしていこうという感じでしょうか?

中山さん 今後もいままでと同じように直請けで、お施主さんとの関係性を掘り下げていって、お施主さんのイメージしたものを、いいものに仕上げることですね。飲食店さんの場合は、成長とともに店舗数も増えていくので、関連で請け負う仕事も増えていく事が多いです。それなので、メンテナンスだけでも結構な案件数になっています。メンテナンスの順番を待ってもらうこともあるので、これ以上、大きく幅は広げられないですね。

最後に「請負市場」についてご意見をお聞かせください

中山さん 合理的なシステムだと思います。現在うちでは、一人親方が集まってチーム編成が出来上がっていますが、出来上がる前には使っておきたいシステムです。チームが出来上がってはいますが案件が立て込んでくると、いつも集まってくれる現場管理の人の都合がつかないこともあるので、自分で兼任するんですが、そういうときに単発でもお仕事をお願いできるのは魅力だと思います。それで新しい人とも関わりができて、それぞれみなさん特色が合えば、それを活かして仕事していければいいと思います。

今日はどうもありがとうございました。また面白いお話ができたら伺わせてください。


編集後記 今回お話を伺った中山工務店さんは、施主のイメージと自分たちの発想や経験、技術を掛け合わせて作り上げることで、施工案件の仕上がりも人間関係もよりよいものが仕上げられるということを教えていただきました。またそのことで施工後も施主と付き合いが続き、自分たちの手がけたものに責任をもってメンテナンスにも関わるという真摯な姿勢から熱いものを感じ取れました。また素敵な店舗を施工してください。

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